障害についての基礎知識編

このウェブサイトでの言葉遣いについて

このウェブサイトでは、一定の特徴や特性を指すのに「障害」という言葉を使っています。 これは、障害者基本法や障害者総合支援法といった、障害をもった方々の 権利の保護や生活の支援について定めた法律にならったものですが、 他のウェブサイトでは「障がい」や「特性」と書かれている場合もあります。

特に子どもについては「特性」という表現をすることも多いですが、 このウェブサイトでは社会の支援制度を積極的に利用してもらうことを 一つの目的にしているので、成人の社会福祉・社会保障制度の言葉遣いとの 一貫性を持たせるため「障害」という言葉で統一しています。

「障害」とは?

一般に、「障害」という言葉には2つの意味があります。医学的用語としての「障害」と社会的な意味での「障害」です。

医学的な「障害」とは身体の機能の状態や病気の状態を示す診断名(名前)として使われています。例えば知的障害であれば、知能検査の結果で「軽度知的障害」「中等度知的障害」「重度知的障害」「最重度知的障害」などと診断名が決められています。

一方で社会的な意味での「障害」とは医学的診断としての「障害」に社会的な障壁(バリア)が加わって生活の中に制限が生じている状態を示します。 障壁(バリア)とは、車椅子の人にとっての段差などといった目に見えるものだけではなく、 社会的な制度、慣行、観念(偏見など)も含みます。(障害者基本法第2条)

医学的「障害」が同程度だとしても生活に支障が出る程度は環境や個人によってまちまちです。

「特性」「発達障害」とは?

発達障害は生まれつきの脳の機能障害、つまり脳の働き方に違いがあり、行動や情緒、感覚の発達の仕方に特性(=凸凹)があると言われます。

一般に「特性」とはその「傾向」という意味で使われており、平均と比べて遅れているだけとは限らず、 優れている分野と苦手な分野の差が大きくて苦しむ子も少なからずいます。

診断としては自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動症(AD/HD)、学習障害(LD)、チック症、吃音症などが含まれますが、 近年は医学的診断名としての「障害」と社会的な意味での「障害」を混同しないように、 発達障害のことを専門的には「神経発達症」と呼ぶようになってきています。

また、これらの特性が重複したり、知的障害を合併することもあります。それぞれの特性の重複具合や知的水準の組み合わせで生活の状況は違っているのが実情です。 コミュニケーションが苦手だったり、集団生活に馴染みにくかったりする子どもが多い傾向はありますが、 その子の特性が活かされる環境では優れた能力を発揮する場合もあります。

自閉スペクトラム症 (ASD) とは?

従来、「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」という診断名で知られていた症状の総称です。以下のような特徴がよく知られています。

  • 視線が合いにくい。
  • コミュニケーションが苦手。
  • 曖昧なことが分かりづらい。
  • 強いこだわりを持っている。
  • 気持ちの切り替えが難しい。
  • 感覚過敏 (大きい音が苦手、まぶしいのが苦手など)

自閉の傾向は異常と正常がはっきり離れて区切られているわけではなく、そのような傾向の濃淡が連続しています。 この連続した濃淡のことを、理科で習う光のスペクトラムになぞらえて「スペクトラム」と呼んでいます。

自閉の特性や傾向が一定程度以上の範囲にある場合は診断基準に沿って「自閉スペクトラム症」と診断することができます。 知能の程度や他の特性や障害との組み合わせによって、生活に支障が出るかどうかは変わります。強いこだわりを持つ分野で才能を発揮するお子さんもいます。

ADHDとは?

日本語に訳して「注意欠如・多動症」ともいいます。

不注意と多動・衝動性が目立つ症状です。不注意だけのこともあれば、不注意と多動・衝動性が両方あることもあります。

不注意な場合の特徴

  • 集中を保つことができない
  • 忘れ物が多い
  • 片付けが苦手
  • 時間が守れない

多動・衝動性の特徴

  • じっとしていられない。
  • 教室から出て行ってしまう。
  • 走り回ったり、高いところに登ったりする。
  • しゃべりすぎる。
  • 順番がまちきれない。
  • 怪我をしたり、お友達に怪我をさせたりすることが多い。

学校でボーッとしていたり、遅刻したり、衝動がコントロールできなくて危険な行為をしてしまったりするために叱られることが多くなりがちです。 しかし本人は悪気がなくて一生懸命なこともあるので、後になって自分のしたことに落ち込んでいることを理解してあげるのが大切です。

保護者インタビュー

LDとは?

日本語に訳して「学習障害」、「限局性学習症」と呼ばれることもあります。

目立った知的な遅れや視覚・聴覚の障害がないのに読み書き能力や計算能力の遅れが目立っている障害です。

  • 文字を読んだり話したりするのはできるが書けない
  • 文章を飛ばして読んでしまう

などさまざまなパターンがあります。

チック症とは?

自分の意思とは関係なく突発的に急速な運動を繰り返す病気です。急に目をパチパチさせたり、声を上げたりします。