就職時の雇用枠について

「一般枠」と「障害者枠」での就職の違い

障害を持つ人が就職する場合、企業が障害者手帳を持っている人だけを対象にして採用する「障害者雇用」という制度があります(「障害者枠」)が、 障害者手帳を持っていても、一般の求人に応募することもできます(「一般枠」)。1

「障害者雇用」の場合、企業はその人にどのような障害があるかなどを詳細に知った上で採用しますが、 一般の求人に応募する場合は、たとえ障害者手帳を持っていても仕事に支障がなければ障害について伝える必要はありません。2

どちらを選ぶかによって働ける仕事の内容や就職先は大きく違ってきますが、それぞれのさまざまなメリット・デメリットがありますから、 応募するときには自分の特性や傾向とどちらが合うのかよく考えてから、選ぶようにしましょう。

働き方の比較表

※ 企業ごとに働き方の柔軟性や人事制度などは多様なため、一概には言えませんが、以下のような傾向があります。

違い 一般枠 障害者枠
メリット 就職先の幅が広い 仕事の際も通院や服薬のタイミングなど個別の事情を考慮してもらえる。
経験を積んでキャリアアップできる可能性がある。 希望すれば、支援機関に本人と企業との間で調整してもらうことができる。
昇給の機会が多い。 勤務形態、業務内容を企業に相談し、配慮してもらえる。
デメリット 通院や服薬のタイミングが難しい。 昇進や昇給が難しい。
業務量の調整を頼みにくい。 軽作業や簡単な事務作業に仕事が限定されていることが多く、キャリアを積むことは難しい。
適性などと関係なく異動や昇進をする場合があり、ストレスを感じても相談しづらい。

アドバイス

  • 就職先選びの際に注意が必要なのが「この企業は発達障害の人の受け入れ実績があるから、理解がある」と思い込むことです。発達障害の特性といっても千差万別です。支援機関を上手に使いながら“発達障害者”ではなく“その人”を理解してもらえるように家族としても行動されるとよいかもしれません。

脚注

  1. 障害者枠は障害を開示するという意味で「オープン」、一般枠は開示しないという意味で「クローズ」と表現されることがあります。 

  2. 一般枠で続けることが難しい場合には、障害者枠に切り替えられる場合もあります。